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Money 20/20ラスベガス(2024)レポート:注目すべき観点
11月、CoinsDoはラスベガスで開催されたMoney20/20に参加しました。これは、金融とテクノロジーのリーダーたちがお金の未来を形作るために集う場です。暗号資産関連の金融サービス企業がかなりの規模で出展しているだろうと予想していた私たちは、その存在感が著しく控えめだったことにむしろ驚かされました。この観察を機に、主流金融のなかでの暗号資産業界の現状について考えてみました。本ブログでは、私たちの気づきを共有し、こうした傾向の背景にあると考えられる理由を掘り下げ、それがデジタル通貨の未来にとって何を意味しうるのかを探っていきます。
観察その1:暗号資産企業の控えめな存在感
会場を歩いてみて、これほど重要な金融イベントにしては、暗号資産企業の存在感が予想ほど大きくないことが明らかでした。
存在感の低下の一因としては、暗号資産業界が直面する規制当局による監視の強化が考えられます。米国では、証券取引委員会(SEC)などの機関が暗号資産規制への取り組みを強めています。PWCのレポートによると、このことから暗号資産企業には、
従来型の金融サービスに関する義務を順守するためのハードルが高くなっており、現時点でこのハードルをクリアできる暗号資産企業は多くありません。これが、主流のイベントでの露出低下につながっている可能性があります。
もう一つの要因は、この1年で経験した市場の変動かもしれません。暗号資産市場は大きな変動に見舞われ、Wazir Xのような大手取引所のハックが投資家の信頼を揺るがしました。こうした環境では、企業は大規模な宣伝活動よりも、事業の盤石化と安定に注力するようになるのかもしれません。
観察その2:従来型アプリケーションへの注目
存在感こそ小さかったものの、出展していた暗号資産企業は、ブロックチェーン技術の従来型金融への応用を強調していました。
多くの企業が越境送金や暗号資産決済の受け入れシステムなどのソリューションを展示していました。この変化は、現実世界での有用性を示す戦略的な動きと考えられます。国際送金における高額な手数料や遅い処理時間といった具体的な問題に取り組むことで、既存の金融システムとよりシームレスに統合することを目指しているのです。
このトレンドは、実用的なブロックチェーン応用へ向けた業界全体の流れとも一致しています。Deloitteのグローバルブロックチェーン調査では、回答した経営幹部の83%が、既存の金融プロセスの向上においてブロックチェーンに魅力的なユースケースを見出しています.
実績あるユースケースに注力することは、本格的な普及を加速させるかもしれません。しかし、暗号資産技術のより革新的で破壊的な側面が軽視される可能性もあります。実用的なソリューションと先駆的な開発とのバランスを取ることが、業界の成長には不可欠です。
観察その3:サードパーティ製カストディソリューションの優勢
特筆すべき観察として、暗号資産向けサードパーティ製カストディサービスの多さが挙げられます。
カストディソリューションへの依存が示すのは、多くのユーザーや機関が、資産の完全な管理権よりもセキュリティと利便性を優先しているという事実です。ノンカストディ型ソリューションはより大きな自律性を提供する一方で、ユーザー自身による秘密鍵の管理を求めます。これは、大きな負担に感じられることもある責任です。
Money20/20で実施した私たち自身の非公式調査でも、機関投資家は規制遵守とリスク管理の観点から、カストディサービスを好む傾向が示されました。
ノンカストディ型ソリューションに対する市場の受け入れ準備が進まない要因としては、使いやすいインターフェースの不足、セキュリティへの懸念、規制の不明確さなどがあると私たちは考えています。これらの課題を克服することは、ノンカストディ型暗号資産ソリューションのより広い普及に不可欠です。
観察その4:Money20/20におけるAIとリグテックの台頭
今年のカンファレンスで最も顕著だったテーマの一つが、金融サービスへの人工知能(AI)の統合でした。これは、イベントのテーマである「Human x Machine」に集約されています。
「Human x Machine」の融合が示すのは、人間の専門性と機械の効率を組み合わせることでより良い成果が得られるという、業界全体の認識です。金融機関はAIを活用することで、繊細な意思決定に不可欠な人間の判断を置き換えることなく、自らの能力を高めることができます。
リグテック企業、とりわけAIを活用したeKYCソリューションを提供する企業が大きく存在感を示していたのは、このためだと私たちは考えています。これらの技術は、顧客のオンボーディングプロセスの効率化、セキュリティの強化、規制要件への準拠の確実化を目的として設計されています。
なぜAI搭載リグテックに注目が集まるのか
規制要件の増大:金融機関は、詐欺、マネーロンダリング、テロ資金対策を目的とした複雑な規制に準拠するよう求める圧力が日々高まっています。AIを活用したeKYCソリューションは、大量のデータを迅速かつ正確に処理できるため、コンプライアンス違反のリスクを低減します。
効率化とコスト削減:手作業によるコンプライアンスプロセスは時間とコストがかかります。AIはこうした作業を自動化し、時間とリソースを節約します。Accentureの調査では、AIによって銀行の運用コストを最大30%削減できる可能性があることがわかりました。
カスタマーエクスペリエンスの向上:より迅速なオンボーディングプロセスは、顧客体験を向上させます。AIはリアルタイムで本人確認を行えるため、顧客は長い待ち時間なしに口座を開設したり、サービスを利用したりできます。
観察その5:ベンチャーキャピタルの関心の高まり
前面に出てくる暗号資産企業の存在感は控えめだったものの、暗号資産分野へより深く踏み込むベンチャーキャピタル(VC)からの関心が著しく高まっています。この増加は投資家心理の変化を示しており、多くのVCが業界に内在するリスクを受け入れる姿勢を強めているように見えます。この変化を後押ししているものは何でしょうか。それは、米国の規制環境が間もなく暗号資産市場に対して、より明確で安定した指針を示すのではないかという予感の高まりです。
より明確な規制への期待は、状況を一変させる可能性を秘めています。不確実性は長い間、暗号資産への幅広い投資の障壁でしたが、米国の主要な大統領候補が二人とも最近、暗号資産に友好的な立場を示したことで、業界を正当なものにし、安定させる支援的な政策への期待が再び高まっています。VCにとってこれは、リスクの縮小と、より予測可能なリターンの可能性を意味します。今はまさに、革新的なプロジェクトを支援する絶好のタイミングと言えるでしょう。
高まるVCの関心は、暗号資産業界にとっての救いの綱です。資金へのアクセスが得られれば、スタートアップは分散型金融(DeFi)プラットフォームから最先端のブロックチェーンアプリケーションに至るまで、変革をもたらすアイデアを実現できます。起業家にとって、これはエキサイティングな瞬間です。ビジョンを拡大し、破壊的イノベーションが起きうる分野でインパクトを与えるために必要なリソースを確保するチャンスなのです。
終わりに
Money20/20での時間を振り返ると、暗号資産業界が岐路に立っていることは明らかです。暗号資産企業の控えめな存在感と従来型応用への注力は、主流金融との統合へ向けた戦略的転換と、規制圧力への対応を示唆しています。



